若年性鼻咽腔血管繊維腫

概要


鼻咽腔内に発生する良性腫瘍で、頭頸部腫瘍全体の0.5%未満を占める稀な腫瘍のひとつです。罹患者の多くは思春期前後の男性です。組織学的には良性ですが,腫瘍が大きくなると周囲の組織に進展します。時に頭蓋内へと進展し様々な症状を引き起こすこともあります。早期診断・早期治療が重要です。

治療

基本的か治療は手術摘出です。極めて出血しやすい腫瘍であり,手術中の出血を抑える工夫が必要となります。手術前日に血管造影を行って腫瘍を栄養する血管を特定し,その血管に塞栓物質を注入することにより血流を抑える,選択的血管塞栓療法という治療を行います。

近年,内視鏡による切除術の適応が広がってきました。外切開による手術法と比較しても,手術成績に遜色ないという報告も出てきています。また放射線治療は,単独で根治性を目指すのは難しいことが多く,主に進行例で手術不可能な症例に適応となります。

手術前後のMRI画像(経鼻内視鏡手術)