はじめに
慶應義塾大学医学部脳神経外科では、脳腫瘍の患者さんに対して世界初の3つの免疫療法(ワクチン療法)の臨床試験を行っています。
①進行・再発難治性脳腫瘍に対するVEGFR1/2ペプチドワクチン
脊索腫(http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000724.html)
髄膜腫(http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000307.html)
血管周皮腫・上血管芽腫・上衣腫
②進行性神経線維腫症2型に対するVEGFR1/2ペプチドワクチン
③初発悪性神経膠腫に対するVEGFR1/2ペプチドワクチン
以下、具体的な治療内容を紹介します。
①進行・再発難治性脳腫瘍に対するVEGFR1/2ペプチドワクチン
本臨床試験では、腫瘍新生血管関連分子であるVEGFR1、VEGFR2由来の2種類のペプチドを用いたワクチン療法を施行します。VEGFRは、悪性神経膠腫をはじめ多くの癌の腫瘍新生血管に発現し、腫瘍の増殖に深く関与しています。これまで、他の癌腫および進行・再発悪性神経膠腫に対するVEGFRペプチドワクチンの臨床試験(文献1)が行なわれ、VEGFRペプチドを用いた免疫療法が、安全に投与可能で、かつ有効な症例があることがわかりました。
そこで、進行・難治性脳腫瘍の脊索種・髄膜腫・血管周皮腫・上血管芽腫・上衣腫)の患者さんを対象として、腫瘍新生血管を標的とした免疫療法であるVEGFRペプチドワクチンの臨床試験を実施しています。
臨床試験ですので、適格基準、除外基準の照合が行われます。とくに大事なことは、「HLA(ヒト白血球抗原)がA2402型、A0201型、A0206型、A0207型であること」、「外来通院可能であること」、さらに「副腎ステロイド剤(内服)を使用していないこと」が挙げられます。
具体的には、適格基準および除外基準を判定するために、当院来院の上、精査しますが、来院前に主治医と相談していただき、あらかじめHLA検査を行ってください(別項に記載)。
治療は臨床試験として行いますので、ペプチドワクチン自体の費用はかかりませんが、臨床試験中、最初の6カ月間は自費診療となり、画像、採血、再診料含め、約30万円程度の自己負担が予想されます。但し、病状の変化に伴い、当院での検査や治療が必要になった場合、さらに費用がかかる可能性があります。
②進行性神経線維腫症2型に対するVEGFR1/2ペプチドワクチン
本臨床試験では、腫瘍新生血管関連分子であるVEGFR1、VEGFR2由来の2種類のペプチドを用いたワクチン療法を施行します。VEGFRは、悪性神経膠腫をはじめ多くの癌の腫瘍新生血管に発現し、腫瘍の増殖に深く関与しています。これまで、他の癌腫および進行・再発悪性神経膠腫に対するVEGFRペプチドワクチンの臨床試験(文献1)が行なわれ、VEGFRペプチドを用いた免疫療法が、安全に投与可能で、かつ有効な症例があることがわかりました。そこで、進行性神経線維腫症2型の患者さんを対象として、腫瘍新生血管を標的とした免疫療法であるVEGFRペプチドワクチンの臨床試験を実施しています。
臨床試験ですので、適格基準、除外基準の照合が行われます。とくに大事なことは、「HLA(ヒト白血球抗原)がA2402型、A0201型、A0206型、A0207型であること」、「外来通院可能であること」、さらに「副腎ステロイド剤(内服)を使用していないこと」が挙げられます。
具体的には、適格基準および除外基準を判定するために、当院来院の上、精査しますが、来院前に主治医と相談していただき、あらかじめHLA検査を行ってください(別項に記載)。
治療は臨床試験として行いますので、ペプチドワクチン自体の費用はかかりませんが、臨床試験中のうち、最初の6カ月間は自費診療となり、画像、採血、再診料含め、約30万円程度の自己負担が予想されます。但し、病状の変化に伴い、当院での検査や治療が必要になった場合、さらに費用がかかる可能性があります。
③初発悪性神経膠腫に対するVEGFRペプチドワクチン
本臨床試験では、腫瘍新生血管関連分子であるVEGFR1、VEGFR2由来の2種類のペプチドを用いたワクチン療法を施行します。VEGFRは、悪性神経膠腫をはじめ多くの癌の腫瘍新生血管に発現し、腫瘍の増殖に深く関与しています。これまで、他の癌腫および進行・再発悪性神経膠腫に対するVEGFRペプチドワクチンの臨床試験(文献1)が行なわれ、VEGFRペプチドを用いた免疫療法が、安全に投与可能で、かつ有効な症例があることがわかりました。 そこで、初発悪性神経膠腫の患者さんを対象として、腫瘍新生血管を標的とした免疫療法であるVEGFRペプチドワクチンの臨床試験を実施しています。術後の標準治療である化学療法剤(テモゾロミド)と併用で行います。
臨床試験ですので、適格基準、除外基準の照合が行われます。とくに大事なことは、「HLA(ヒト白血球抗原)がA2402型、A0201型、A0206型、A0207型であること」、「外来通院可能であること」、「初期標準治療(放射線治療および同期テモダール)が終了していること」、さらに「副腎ステロイド剤(内服)を使用していないこと」が挙げられます。
具体的には、適格基準および除外基準を判定するために、当院来院の上、精査しますが、来院前に主治医と相談していただき、あらかじめHLA検査を行ってください(別項に記載)。
治療は臨床試験として行いますので、ペプチドワクチン自体の費用はかかりませんが、臨床試験中(8か月)当院では自費診療となり、投薬、画像、採血、再診料含め、約125万円程度の自己負担が予想されます。但し、病状の変化に伴い、当院での検査や治療が必要になった場合、さらに費用がかかる可能性があります。
「HLAの検査法について」
HLAのタイプは、当院では『HLA研究所』での検査結果のみを採用しております。
ワクチン臨床試験への参加を検討される患者様は、脳神経外科へ問い合わせいただきますよう、よろしくお願いいたします。
問い合わせ先:慶應義塾大学医学部 脳神経外科
TEL 03-3353-1211
関連リンク
- 慶応義塾大学医学部脳神経外科学教室「ワクチン療法」
参考文献
- Shibao S, Ueda R, Saito K, Kikuchi R, Nagashima H, Kojima A, Kagami H, Sasaki H, Noji S, Kawakami Y, Yoshida K, Toda M. A pilot study of peptide vaccines for VEGF receptor 1 and 2 in patients with recurrent/ progressive high-grade glioma. Oncotarget 9 (30): 21569-21579, 2018
- Kikuchi R, Ueda R, SaitoK, ShibaoS, NagashimaH, TamuraR, MorimotoY, SasakiH, NojiS, KawakamiY, YoshidaK, TodaM. A pilot study of vaccine therapy with multiple glioma oncoantigen/glioma angiogenesis-associated antigen peptides for patients with recurrent/progressive high-grade glioma. J Clin Med 8(2): E263, 2019